ジーンズ屋で、ジーンズの話をしなくていい

うちに来るお客さんと、ジーンズの話をすることはほとんどない。
天気が悪くてジーンズが乾かないとか、今の若い子はこういう話題がアウトらしいとか、そんな話をしながら時間が過ぎる。知識をひけらかし合う場所でも、語り合う場所でもない。むしろ、そういう空気になりそうな瞬間は、ふざけておもしろい話に変えてしまう。
それでいいと思っている。
話しながら手は動いている。穴補修をサクッと仕上げて渡すと、「話しながらやってこのクオリティ、すげぇ」と言われることがある。集中しているように見えない、でも仕上がりは本物だ。26年やってきた手が、勝手に動く。
ちなみに、誰もいない時もテレビを流している。完全な無音で集中すると、何も聞こえなくなってしまうから。程よく音がある方が手が動く。職人の仕事場というより、普通の生活の延長線上にある場所だ。
そのお渡しの瞬間、お客さんの顔が一番いい。思っていたよりいい仕上がりになっていた時の顔は、何度見ても飽きない。
ジーンズは元々作業着だ。それくらい緩く直した方が、ジーンズスピリットがあると思っている。
📍学芸大学・第一ストア1F MisCHief内 🌐 https://www.rant-rave.net/




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